まえがき
ゲーム積んでますか?
私は積んでます。
steamライブラリには200本くらいあるけど、最後までプレイしたのは多分6〜7割くらい。
時間があればやろうと思えるけど、まとまった時間が永遠に確保できないんですよね。
SNSで『積みゲー』というワードでサーチすると、それはそれは同じような人が沢山見つかるでしょう。
この現象について不思議に思ったので、プレイヤー側とゲーム側両方の視点から原因を考察します。
プレイヤー側の変化
近年のプレイヤーは、スマートフォン・SNSや短尺動画などを通じたスキマ時間消費が常態化し、限られた時間で手軽に楽しめるコンテンツを好む傾向が強い。
ニッセイ基礎研究所の調査では、Z世代の若者は「ゲームもクリアまでに時間や手間のかかる作品ではなく、サクッと完結するようなもの」を好むと分析されている。
実際にクロスマーケティングの2024年調査では、スマホゲーム利用者の約66%が毎日プレイし、全世代で週1回以上プレイする層が9割前後を占めることが報告されている。さらに、同調査では「1年前よりプレイ時間が長くなった」と答えた人が29%(若年層では30~40%)に上るなど、スマホゲームへの接触時間は増加傾向にある。
- 短時間消費の重視:若年層はスマホやSNSでの隙間時間消費に慣れ、継続的な集中時間を必要とする大型ゲームよりも短時間で完結するゲームを選ぶ傾向がある。
- 情報収集の変化:14歳以下のα世代では、ゲーム購入前にYouTubeの実況動画でクリアまで視聴した上で購入するという行動が目立つ。調査によれば、α世代の多くは購入したゲームについて「YouTubeの実況動画を見た」と回答しており、実プレイではなく視聴で内容を把握する傾向が強い。
- プレイ時間の減少:中高年層では生活リズムの多忙化などからゲーム時間が減少し、以前よりゲームと距離を置く人が増えている。Seedersの調査では、回答者の約71%が1週間のゲームプレイ時間を10時間未満に抑えており、20代時代と比較してプレイ時間が減ったと答えた人が約半数に上る一方、「増えた」は約7.7%にとどまっている。とりわけ女性では、「若い頃に比べてゲームから離れている」と回答する割合が高い。多忙な社会人生活や家庭生活、子育てなどで自由時間が減り、継続して長時間ゲームを遊ぶのが難しくなっていることが示唆される。
以上のように、日本のゲームユーザーは全体としてプレイ可能時間が限られ、短時間で完結するエンターテイメントに傾倒しつつある。特に若年層はスマホ主体の生活様式により「ゲーム実況視聴」という代替手段が一般化し、実際のゲームプレイが後回しになりがちである。一方で、家庭やキャリアの変化に伴いゲームから離れる中高年層も少なくない。これらの行動変容が、従来型の大ボリュームな物語ゲームの完遂率低下に影響を与えていると考えられる。
ゲーム側の変化
ゲーム開発においても、近年は作品の規模・内容が拡張され続けている。まず、開発側の報告では大作ゲームの開発期間が長期化し、リリース後もパッチ配信やDLCで追加コンテンツを投入するのが大型タイトルの前提となっていると指摘されている。かつて「ゲームを作ったら終わり」だった時代から、現在はゲームがサービス化されて長期運用前提で設計されるようになり、そのため最終的な完成度向上に加えてサービス継続のための追加開発リソースが必要とされている。
- 長大化・自由度重視:シリーズのリブートや新規IPにおいても、シナリオとサイドコンテンツ量が大幅に増大している。例えば2024年発売の『龍が如く8』では、開発陣が「クリアまで80~100時間かかる」と公言するほどメインストーリーのボリュームが極めて大きく、実プレイでもクリアまで約100時間を要しているautomaton-media.com。このように、マップ探索やサブクエストを含めた自由度の高い作りにより、プレイヤーは膨大なゲーム時間を費やす設計となっている。
- DLC化:国内大手メーカーも例外ではなく、発売後の追加シナリオやスピンオフを繰り返し提供する形態が増加している。ゲームは「完成してからも継続的に遊び続けられるもの」として設計され、主要ストーリー本編の他に拡張エピソードやイベントが定期的に実装されるようになったautomaton-media.com。プレイヤーの期待に応え市場を維持するため、大型タイトルに対し長期サポートを前提とした開発体制を敷いている。
以上のように、日本のゲームデザインはかつてのターン制RPGや一本道型の物語から、世界観そのものやプレイヤー体験全体を重視する方向へ大きく転換している。メインストーリーの長大化、豊富な寄り道要素、追加コンテンツの継続投入といった変化は、ユーザーにとってはクリアまでのハードルが高くなる設計であると言える。
まとめ
以上、二つの視点から原因を考察した結果このようにまとめられます。
- 時間がねぇよ!
- ゲーム長すぎ!
- 実況動画とかみて満足しちゃう…
- でも流行ってるから新作買っちゃう…
プレイヤーの求めるエンタメがインスタント化していく一方で、ゲームのタイトル数・ボリューム共に供給が加速していくと、「ゲームをクリアする」という行為そのものが貴重な体験になりつつあると考えています。
でも、この世に存在する全てのゲームをプレイするなんてそもそも不可能です。
時間が限られている私たちは、無数の選択肢の中から、自分の意思で何かを選ばなければならない。
「積み」は我々が持つ選択肢が豊かである証拠なのです。
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